カテゴリ: 片頭痛最新の研究報告

アルコール頭痛

本日は「お酒」と「片頭痛」についての関連性についての報告です。
外来でも「お酒」と「片頭痛」の関係性については聞かれます。

私自身は必ず「お酒」が悪影響を及ぼすとも思っていなくて、「片頭痛」をおこしやすい環境で「お酒」をのむことで「片頭痛」が引きおこされると思っていたので、同じような結果でしたので納得した論文と言えます。

「お酒」がストレス軽減に繋がり、「片頭痛」をおこしにくい要素もありますので、十分上手な「お酒」との付き合い方を学んで欲しいです。

著 者:
G. L. J. Onderwater

所 属:Leiden University Medical CenterNetherlands

雑 誌:European journal of neurology264,2019585-595

まとめ:アルコールが片頭痛を確実に引き起こすかどうか及びその理由はよく分かっていない。
しかし、片頭痛患者の多くはアルコールが重度の頭痛を引き起こす可能性があると述べ、アルコールを避けていることが調査により判明した。


片頭痛患者はアルコール摂取を片頭痛発作の引き金として関連付けることが多いが、患者の報告によると、アルコールを摂取しても常に発作が引き起こされるわけではない。

本調査の参加者の約36%が発作の引き金としてアルコール摂取を挙げた。これらの患者の3分の1は(アルコール摂取の)3時間以内に片頭痛を発症し、ほぼ90%の患者は10時間以内に片頭痛を発症した。患者の見積もりによると、約2杯のアルコールで発作を発症した。

それでも、赤ワインが引き金となったと述べた人のうち、赤ワインを摂取するたびに頭痛が引き起こされた、と述べた人は9%のみであった。
ウォッカが引き金となったと述べた人のうち、飲酒のたびに頭痛が引き起こされたと述べた人は11%のみであった。

この結果より、アルコールは片頭痛を起こしやすい人の約3分の1に影響を及ぼすと思われ、頭痛を引き起こすアルコール量及び頭痛を引き起こすのにかかる時間もさまざまであると著者らは述べている。

その原因としては、アルコール摂取だけが危険因子というわけではないが、ある片頭痛をおこしやすい状況(月経、ストレス、熱、特定の食物、絶食又は睡眠不足など)でアルコールを摂取することで引き起こさせる可能性がある。

リラックスした良い状態で好きなワインを味わう時より、引き金となる他の要因が組み合わさった場合に発作の可能性は高まると考える。


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本日は新しい論文からの御報告です。

稀な疾患ですが遺伝性の疾患でCADASILという疾患があります。
正式には「
皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症」と呼ばれます。
片頭痛発作を繰り返し、更には若年性の認知症(脳血管性認知症)を来す疾患としても知られています。
この疾患に対して片頭痛の予防薬で知られている「ミグシス」を使うことで、脳梗塞の発症が減り、予後が改善したという報告で、大変貴重ないい報告です。

雑誌:Clinical Neuropharmacology2020/7/17

発表者:水野敏樹教授(京都府立医科大学脳神経内科学)

要約:脳卒中再発予防に効果的な薬剤がなかった遺伝性脳小血管病CADASILに対して、
片頭痛予防薬である塩酸ロメリジ(商品名:ミグシス・Ca拮抗剤・片頭痛予防料の目的に使用)脳梗塞再発予防に効果があることを世界で初めて報告した。

(背景)
指定難病CADASILは常染色体優性遺伝形式を示し、若年期からCTMRIで同定される大脳白質病変が徐々に進行。4060歳の中年期から脳卒中危険因子がなくても皮質下白質にラクナ梗塞を繰り返し発症し、うつ症状、脳血管性認知症に至る遺伝性脳小血管病。
NOTCH3遺伝子に変異を認め、病理学的に脳小血管の平滑筋の変性と、電顕でオスミウムに濃染する顆粒(GOM)の蓄積を特徴とし、遺伝子診断または病理診断で確定診断を行う。
同疾患の有病率は10万人あたり1.23.6人とされ、患者数が極めて少ない稀少疾患であり、根本的な治療法が確立していない。
脳梗塞の予防には通常抗血小板薬が使用されるが、CADASILの場合、これらの薬剤では脳梗塞発症予防が難しく、脳梗塞予防に有効な薬剤が望まれている。

(方法)CADASIL患者30人に対して抗血小板剤+
塩酸ロメリジン5mg12錠を2年間服用した。塩酸ロメリジンは片頭痛予防薬として市販されている薬剤であり、脳血流増加作用があり、脳虚血下の動物実験では脳保護作用が知られている。今回の研究では、CADASILと診断された30人の患者を対象に、抗血小板剤に加えて塩酸ロメリジン5mg12錠を2年間服用してもらった。

(結果)1年間の
脳梗塞平均回数は投与前の0.53回と比べ、投与後は0.18回と減少し、脳梗塞の発症が3分の1に減少した。その間、低血圧ほてり、眠気のため3人が継続して服用できなくなったが、これらの副作用は塩酸ロメリジンですでに報告されており、中止後速やかに改善した。

(考察)CADASILは、
脳梗塞の再発を繰り返すことで症状が増悪するため、抗血小板剤に加えて塩酸ロメリジンを服用することで脳梗塞を予防することができれば、患者の予後改善が期待される。塩酸ロメリジン1990年に認可され、広く片頭痛患者に投与されている安全性・忍容性の高い薬剤であり、CADASIL患者に対しても安全に投薬できることが期待されると研究グループは述べている。


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本日は片頭痛の最新研究からです。
以前から片頭痛患者も心血管疾患発生頻度(特に脳梗塞)が高いという報告が多い。

実際問題として、当院でも椎骨動脈解離の登録を行っているが、片頭痛の既往歴のある人に多い傾向だと考える。

そんな中で、長期間の前向き研究ですから意味のある論文だと言えます。

雑誌:JAMA. 2020 06 09;323(22);2281-2289.

著者:Tobias Kurth (ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学)

要約:45歳以上の女性医療従事者を対象としたコホート研究において、前兆のある片頭痛を有する女性は、前兆のない片頭痛を有する女性または片頭痛なしの女性と比較して、心血管疾患(CVD)発生率が高いことが示された。

目的:前兆のある片頭痛がCVDリスクを増加させることは知られている。しかし、ほかのCVDリスク因子と比較した場合、前兆を伴う片頭痛のCVD発生への絶対的寄与率は不明であった。
 
対象:アメリカのWomen's Health Study(WHS)の追跡調査結果を解析・報告した。研究グループは、WHSに参加した45歳以上の女性医療従事者のうち、ベースライン(1992~95年)の脂質測定データがあり、かつCVDの既往がない女性について、2018年12月31日まで追跡調査した。ベースラインでの片頭痛の有無(前兆あり/前兆なし)は自己報告とした。

評価項目:主要CVD(初発心筋梗塞、脳卒中、CVD死)で、一般化モデリング法を用いコホートの全女性を対象に、リスク因子ごとに多変量調整主要CVDイベント発生率を算出した。

結果:①解析対象は、2万7,858例(平均年齢:54.7±7.1歳)であった。このうち1,435例(5.2%)が前兆のある片頭痛を有し、2万6,423例(94.8%)が前兆のない片頭痛あり/片頭痛なしであった。
②平均追跡期間は、22.6年(62万9,353人年)で、主要CVDイベントは1,666件発生した。1,000人年当たりの調整主要CVD発生率は、前兆のある片頭痛を有する女性で3.36、前兆のない片頭痛あり/片頭痛なしの女性では2.11であった。

 前兆のある片頭痛を有する女性における調整主要CVD発生率は、肥満(2.29)、トリグリセライド高値(2.67)、HDLコレステロール低値(2.63)の女性に比べて有意に高かったが、収縮期血圧値上昇(3.78)、総コレステロール高値(2.85)、心筋梗塞の家族歴あり(2.71)の女性との比較では有意差は確認されなかった。一方で、糖尿病(5.76)または現喫煙者(4.29)の女性における発生率は、前兆のある片頭痛を有する女性より有意に高値であった。
前兆のある片頭痛を有する女性での発生率の増加は、肥満の要素が加わった場合の1.01/1,000人年から、糖尿病が加わった場合の2.57/1,000人年の範囲にわたった。

考察:著者は、研究の限界として片頭痛と血管リスク因子について自己報告であること、女性医療従事者のみを対象としたことなどを挙げたうえで、「本解析結果の臨床的意義と一般化の可能性については、さらなる調査が必要である」とまとめている。

今後ね更なる研究が待たれます。

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本日は「片頭痛」と「ハリ」の関係性についての論文の紹介です。
日本では埼玉医科大学の頭痛外来では針治療を積極的に行われていて、毎年の日本頭痛学会で話しを聞くのを楽しみにしています。
私自身の結論も一定の効果を認めるが、著明に改善する患者さんがいるのも事実だと思っています。

雑誌:BMJ (2020/3/26)

著者:Shabei Xu(中国・華中科技大学)

目的:前兆のない反復性片頭痛の予防において、マニュアル鍼治療は偽鍼治療や通常治療に比べ、片頭痛の発現日数や発作回数を抑制するか?

対象:年齢1565歳、脳神経内科医によって前兆のない反復性片頭痛と診断され、病歴が12ヵ月以上で、初発片頭痛が50歳以前に発症し、ベースライン期間の4週間に28回の片頭痛発作がみられ、マニュアル鍼治療が未経験の患者。

方法:マニュアル鍼治療、偽鍼治療、通常治療単独のいずれかを受ける群に221の割合で無作為に割り付けられた。
マニュアル鍼治療群では正しい経穴への鍼治療を
20回(130分)と通常治療。
偽鍼治療群では経穴とは異なる部分への偽鍼治療を
20回と通常治療
通常治療群では通常治療。

8週間行われた。施術は14人の有資格の鍼治療師が行った。試験期間は24週。

201665日~20181115日の期間に、中国の7施設で150例(平均年齢36.5SD 11.4]歳、女性123例[82%])が登録され、マニュアル鍼治療群に60例、偽鍼治療群に60例、通常治療群には30例が割り付けられた。最大の解析対象集団(FAS)は147例(それぞれ58例、60例、29例)であった。

主要なアウトカム:主要アウトカムは、ベースライン(無作為割り付け前の4週間)から割り付け後120週における4週ごとの片頭痛の発現日数および片頭痛発作の回数の変化とした。


結果:偽鍼治療群と比較して、マニュアル鍼治療群は1320週の片頭痛発現日数が有意に減少し、1720週の片頭痛発作の回数が有意に低下した。1316週の平均片頭痛発現日数は、マニュアル鍼治療群で3.5SD 2.5)日減少し、偽鍼治療群の2.43.4)日の減少と比較して改善効果が有意に優れた(補正群間差:-1.4日、95%信頼区間[CI]:-2.4~-0.3p0.005)。また、1720週においても、マニュアル鍼治療群では3.93.0)日減少し、偽鍼治療群の2.23.2)日の減少に比べ有意に改善した(-2.1、-2.9~-1.2p0.001)。


結論:マニュアル鍼治療群と通常治療群の比較では、120週を通じて、片頭痛発現日数および片頭痛発作の回数がいずれもマニュアル鍼治療群で有意に良好であった。

考察:これらの結果は、片頭痛の予防薬の使用に消極的、あるいは無効な患者におけるマニュアル鍼治療の使用を支持するものであり、今後、ガイドラインへの掲載を考慮する必要あると指摘している。

smartphone

Neurology Clinical Practice(2020/3/4)という雑誌からの論文からです。

[Smartphone use and primary headache]
https://cp.neurology.org/content/early/2020/03/03/CPJ.0000000000000822

インドからの研究論文です。

まとめると、スマホの頻繁な使用で頭痛に鎮痛薬が効きにくくなるのでは?

片頭痛患者さんで、スマートホンをよく使用すると、頭痛の頻度が増え、鎮痛薬の使用量が増加していく事が報告されています。

当院の外来でも似たような話があり、ここからは私の考察ですが、いくつかのポイントがあると思われます。

①姿勢
どうしても猫背になり、眉間あたりにしわがよることが多く、頭痛に対しては決してよくない姿勢。
スマホ首などと呼ばれる先生もいらっしゃいます。

②電磁波の影響?
これは根拠がないのですが、患者さんで電磁波だと言う人がいます。使わないというわけにはいかないので、短時間に留めているという話しを聞きます。

③ブルーライト
脳の前頭前野を刺激して、睡眠深度が深くならず、それが原因で頭痛がおこりやすい環境になる。

このようなことを考えています。
便利さは意外にも不便になることもある。

片頭痛患者さんでは、スマートホンの使用頻度を減らした方がいいようです。

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