
本日は片頭痛の最新研究からです。
以前から片頭痛患者も心血管疾患発生頻度(特に脳梗塞)が高いという報告が多い。
実際問題として、当院でも椎骨動脈解離の登録を行っているが、片頭痛の既往歴のある人に多い傾向だと考える。
そんな中で、長期間の前向き研究ですから意味のある論文だと言えます。
以前から片頭痛患者も心血管疾患発生頻度(特に脳梗塞)が高いという報告が多い。
実際問題として、当院でも椎骨動脈解離の登録を行っているが、片頭痛の既往歴のある人に多い傾向だと考える。
そんな中で、長期間の前向き研究ですから意味のある論文だと言えます。
雑誌:JAMA. 2020 06 09;323(22);2281-2289.
著者:Tobias Kurth (ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学)
要約:45歳以上の女性医療従事者を対象としたコホート研究において、前兆のある片頭痛を有する女性は、前兆のない片頭痛を有する女性または片頭痛なしの女性と比較して、心血管疾患(CVD)発生率が高いことが示された。
目的:前兆のある片頭痛がCVDリスクを増加させることは知られている。しかし、ほかのCVDリスク因子と比較した場合、前兆を伴う片頭痛のCVD発生への絶対的寄与率は不明であった。
対象:アメリカのWomen's Health Study(WHS)の追跡調査結果を解析・報告した。研究グループは、WHSに参加した45歳以上の女性医療従事者のうち、ベースライン(1992~95年)の脂質測定データがあり、かつCVDの既往がない女性について、2018年12月31日まで追跡調査した。ベースラインでの片頭痛の有無(前兆あり/前兆なし)は自己報告とした。
評価項目:主要CVD(初発心筋梗塞、脳卒中、CVD死)で、一般化モデリング法を用いコホートの全女性を対象に、リスク因子ごとに多変量調整主要CVDイベント発生率を算出した。
結果:①解析対象は、2万7,858例(平均年齢:54.7±7.1歳)であった。このうち1,435例(5.2%)が前兆のある片頭痛を有し、2万6,423例(94.8%)が前兆のない片頭痛あり/片頭痛なしであった。
②平均追跡期間は、22.6年(62万9,353人年)で、主要CVDイベントは1,666件発生した。1,000人年当たりの調整主要CVD発生率は、前兆のある片頭痛を有する女性で3.36、前兆のない片頭痛あり/片頭痛なしの女性では2.11であった。
前兆のある片頭痛を有する女性における調整主要CVD発生率は、肥満(2.29)、トリグリセライド高値(2.67)、HDLコレステロール低値(2.63)の女性に比べて有意に高かったが、収縮期血圧値上昇(3.78)、総コレステロール高値(2.85)、心筋梗塞の家族歴あり(2.71)の女性との比較では有意差は確認されなかった。一方で、糖尿病(5.76)または現喫煙者(4.29)の女性における発生率は、前兆のある片頭痛を有する女性より有意に高値であった。
前兆のある片頭痛を有する女性での発生率の増加は、肥満の要素が加わった場合の1.01/1,000人年から、糖尿病が加わった場合の2.57/1,000人年の範囲にわたった。
考察:著者は、研究の限界として片頭痛と血管リスク因子について自己報告であること、女性医療従事者のみを対象としたことなどを挙げたうえで、「本解析結果の臨床的意義と一般化の可能性については、さらなる調査が必要である」とまとめている。
今後ね更なる研究が待たれます。
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