2023年08月

RCVS澤村

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本日はロッテマリーンズの澤村投手におきた「RCVS」という病気について触れたいと思います。
「RCVS」可逆性脳血管攣縮症候群と日本語と呼びます。血管が攣縮することで突然の頭痛をひきおこす疾患であり、可逆性と最初に書いているとおり、おおよそ元の状況に血管も戻っていくとされています。

この病気は突然の頭痛(雷鳴頭痛)によっておこる病気です。
私は個人的に頭痛外来で気をつけるべき「急性頭痛三兄弟」として①クモ膜下出血 ②椎骨動脈解離 ③RCVSの3疾患をあげています。
このRCVS
1分以内にピークに達する雷鳴頭痛、または重篤な再発性頭痛で発症

2つ以上の異なる脳動脈に分節性の脳血管攣縮を認める


③ 攣縮は
3か月以内に改善し、約30%に何らかの脳卒中を合併する

疾患とされています。当院でも今年は約8ヶ月で2例経験します。毎年、数例は経験しますので、多い疾患ではないけれど、決して稀というほどではありません。

 性行為, 労作, 排便, 急激な感情の起伏, 入浴やシャワーなどが引き金となって発症することが知られています。澤村投手の新聞記事はわずかなので、どうやって発症したかは不明ですが、多くの患者さんは上記を引き金として発症しています。

 
RCVSは片頭痛の患者さんに多く、重度の片頭痛発作とRCVSの鑑別が困難なことも多く、私の経験でもいつもの片頭痛かと思っていたが、普段は効果のあるトリプタン製剤で効果がないために、再度問診したり、MRI検査にて診断まで辿り着いたケースもあります。

 一般的には、
予後良好な症例が圧倒的に多く、致死率は1%未満・生命予後の危険は5%未満、再発率は5-8%とされています。澤村投手も6日ほどの入院で退院。自宅で安静にして徐々に運動強度をあげ、来月実践復帰を予定しているようです。そうなると一般的なRCVSの経過と考えられます。

 治療としてはワソラン(ベラパミル)の内服をすることが一般的で、MRI検査を行い、血管の攣縮が改善し、頭痛が収まっていけば終了となります。

 この澤村投手の発病を機会に、もう少しこのような疾患が一般的に知られるようになることを祈っております。

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プレゼンテーション1

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本日は世界6ヵ国(カナダ、フランス、ドイツ、日本、英国、米国)における慢性片頭痛患者についての最新報告になります。

 

出典:Cephalalgia2023 Jun;43(6)

(方法)カナダ、フランス、ドイツ、日本、英国、米国で実施された調査では、国際頭痛分類の診断に基づいて片頭痛患者を特定した。

(結果)

   スクリーニング調査に正しく回答した90,613人のうち、76,121人は片頭痛の基準を満たしていなかったが、14,492人(16.0%)は基準を満たしていた。

   片頭痛のある回答者の平均年齢は4042歳であった。

   月間頭痛日数の中央値は2.333.33

   中等度から重度の障害を有する回答者の割合は30%(日本)から52%(ドイツ)であった。

   慢性片頭痛と考えられる月間頭痛日数が15日以上の回答者の割合は、5.4%(フランス)から9.5%(日本)であった。

   片頭痛の診断を受けたことがあると答えた回答者は、各国で半数以下であった。

(結論)これらの結果から、6カ国において片頭痛に関連した障害の割合が高く、片頭痛の診断が過小であることが示された。

このような報告は、インターネットが発達した現代では比較的簡単にできるようになりました。
国によっては医療体制も異なりますし、一番上に示しましたように頭痛で病院を受診するかどうかというのは国民性にもよります。(日本では、頭痛くらいでは病院にはいかないというのが主流?!)

今までも日本は頭痛=耐えるもの、頭痛=仕方ないものというニュアンスが大きいとされてきました。

実際問題としては片頭痛患者の割合は他の国と比較しても大きな変化はないし、むしろ慢性片頭痛患者の割合は他の国よりも高いくらいなんですが、日常生活支障度は低いというチグハグな結果になっています。

国民性といえば国民性なんですが、もう少し「頭痛で病院に行こう~」「今よりもっと楽に頭痛が治療できるんですよ~」ということが伝わるといいなあと思いました。

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図10
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本日は、エムガルティ・アジョビ・アイモビーグなどのお薬を使う患者さんのお話です。

このような抗CGRP製剤が世の中にでてきて、丸2年が経過しました。
治験同様、納得のいく結果がでている患者さんもいれば、結果のでていない患者さんがいるのも事実です。

私が見ても典型的な片頭痛患者さんなのに効果がでない患者さんがいるのは確かです。
なぜなんだろう?と思うこともよくあるのですが、現時点での私の答えなんですが、
片頭痛の際に、原因となる神経peptideに
CGRPPACAPVIPNOなどがあると言われています。

エムガルティ・アジョビ・アイモビーグなどのお薬は、片頭痛の際にはCGRPのみをblockします。ですので、ある患者さんは、片頭痛がおこればCGRPがmainに動くtypeであれば、理論的にはエムガルティ・アジョビ・アイモビーグなどのお薬が凄く効果的だと言えます。

ところが片頭痛患者さんの中にはCGRP以外の神経peptideが動く場合には、理論的に
エムガルティ・アジョビ・アイモビーグなどのお薬は効果がでないということになります。

実際問題
PACAP そのものに対するモノクローナル抗体であるLu AG09222片頭痛予防効果が期待されていますので、実際の患者さんでもCGRPさえblockしても効果はあまりなく、PACAPを抑えないと片頭痛が良くならないケースがあるのだと思います。

そういう現状では、CGRPの濃度がきちんと測定できれば、ある程度効果がでるかでないかが推測できると思われます。そういう内容の論文が上の論文です。

片頭痛患者健常者比較して、唾液中のCGRP濃度有意高値であったまた、 反復性片頭痛患者では投与前唾液中のCGRP患者では、アイモビーグ投与によって頭痛日数50%以下低下する確率かったという内容です。

つまり
簡単にCGRP濃度が測定できれば、
エムガルティ・アジョビ・アイモビーグなどのお薬が効くか効かないのか?がわかりますし、エムガルティ・アジョビ・アイモビーグなどのお薬を使って、頭痛が減ってCGRP濃度も減れば、お薬を中止するかどうかを簡単に判断できるようになるはずなんです。

技術的には難しい話ではないので、測定機器の正確性・値段・保険適応が決まれば、あの高い薬である
エムガルティ・アジョビ・アイモビーグなどを効く人に確実に届けられるようになるわけで、我々医師側にとっても、患者さん側にとっても大変いい話になると思われます。

今後の研究結果に期待していきたいです。

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