2021年06月

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まず、最初に宣伝します。
今回、患者さん向けに「You Tube」を開設いたしました。
「片頭痛を学ぶ」シリーズです。まだ数は少ないのですが、準備でき次第upしていきます。
是非、ご覧になって下さい。↓↓↓

https://studio.youtube.com/channel/UCvzun1zlHiUih8DarKizKqw/videos/upload?filter=%5B%5D&sort=%7B%22columnType%22%3A%22date%22%2C%22sortOrder%22%3A%22DESCENDING%22%7D

本日は最新の論文からの発表です。

現在、当院(2021/6/21現在)では「エムガルティ」を25人の患者さんに使っています。期待していた効果がでていて、日々「金額」以外は副作用もなくて良い薬であると実感する日々です。

みなさん片頭痛の頻度が減り、程度が軽くなり、トリプタンの効果があがることを大なり小なり認識していただいているのですが、では中止したらどうなるのでしょうか?

本日、ご紹介する論文は、この「エムガルティ」のような抗CGRP製剤を止めたらどうなるの?の論文です。

タイトル:「抗CGRP療法中止後の片頭痛日数の変化」

著者:
Andreas R. Gantenbein(チューリッヒ大学)

要約:
12ヵ月間の抗CGRP療法を行った患者さんが、抗CGRP療法中止後、月間片頭痛日数が増加した。そのため、多くの中止した患者が抗CGRP療法を再開した。

対象:抗CGRP抗体で12ヵ月間治療を行った片頭痛患者52例

結果①:月間片頭痛日数の平均値は治療前で16±7日、3ヵ月目で6±6日、12ヵ月目で5±4日であった。

結果②:治療中断後の月間片頭痛日数の平均値は1ヵ月後で6±4日、2ヵ月後で9±4日、3ヵ月後で11±5日であった。

結果③:その結果、88.9%の患者が治療を再開した。

考察①:抗CGRP療法の効果は、長期間持続することはほとんどない。
考察②:治療中断後、ほとんどの患者で片頭痛頻度が上昇し、再度予防療法が必要となった。

私の治験を行ったときの感想にほぼ似ているなあという印象です。
抗CGRP療法開始後、速やかに片頭痛日数は減っていきます。中止するとジリジリと片頭痛日数は元の状態に戻っていきます。この論文でも対象になった患者さんは比較的に片頭痛日数の多い患者さんですので、金額的には大変高い薬剤ではありますが、一旦中止すると短期間で元の状況に戻るため治療は継続した方がいいようです。

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最初に、昨日までに「エムガルティ」を注射して1ヶ月経過し、2回目の注射にこられた人が10人を越えました。
ですので、次週upするのは1ヶ月の効果がどうだったのか?にしようと思います。

現在までに23人の患者さんにエムガルティを注射させていただいています。
前にも書きましたように、当初は治験した人を中心に注射していただいたのですが、ここのところはずっと治験を経験していない人たちが「エムガルティ」を注射されていき、割合は治験9:非治験14と完全に逆転しました。

今後、治験経験者でも夏のボーナスがでてから注射しようと思っているとか、いついつうの給料日から使い出したい旨の話しがよく出てきます。

「使ってみたい」けど「使えない」の大きな理由は「お金」なんです。
それは仕方ないことです。
当院でも初めて話して、その段階ですぐに注射したいと申し出られても「一旦持ち帰って、落ち着いて考え直してみて~」とお答えして、その日の注射をお断りしているケースもたくさなります。

coolな状況で判断していただくことも大変重要だと考えているからです。
3ヶ月で6万円(保険を使って)の金額ですので、決して安くはないので、十分な時間は必要と思っているからです。

そこで話しになるのが、いつ頃安くなるのか?ということです。
今年、順調にいきますと「エムガルティ」と同じ機序の薬剤が、「大塚製薬」「アムジェン」という2つの製薬メーカーから発売が予定されています。

上のパワポで言えば「エムガルティ」が「Galcanezumab」というお薬で、その下の「Fremanezumab」というのが大塚製薬から出されるお薬で、「Erenumab」というのがアムジェンから出る薬です。

恐らく、値段は横並びです。金額的には使用方法の違いがありますが、概ね同程度の金額が設定されます。
また、薬の値段は2年に1回改定されるだけで、通常はこの金額と決まると2年間は改訂されません。

ですから、新しい薬剤がでてこ値段の変動はなく、次の薬価改定の時期まで変動しません。
2年おきに4月1日づけの改定です。

金額はしばらく変動しないということです。

うう絵のパワポでもわかりますが、既に治験が終わった薬「Lasmiditan」もありますし、現在治験中のお薬もあります。
選択肢は広がる可能性は大ですし、治療しやすくなるのは間違いありません。

でも薬価はどうしても新しい薬は高くなります。


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「エムガルティ」が発売され、40日ほど経過しました。

6/5までに19人の患者さんに使用しています。
うち7人が既に2回目の注射に来院されました。

本日までに少し気がついたことを書き並べていこうと思います。

①思いの外、治験を経験されてない人が使っているケースが目立つ。

当院では、3社の抗CGRP製剤の治験に関わり、50人を越える患者さんに治験をさせていただきました。
抗CGRP製剤は値段も高いので、既に効果を実感された患者さんが優先的に使用されるものと思っていました。
発売当初は予想通り治験経験者が立て続けに「エムガルティ」を注射されましたが、ついに現在では逆転して治験経験されていない患者さんの方が多くなりました。
これについては、やはりそれだけ「片頭痛患者」さんは日常生活においてお困りだということです。
そして、現時点の治療に満足していないと言うことになります。

②「エムガルティ」は片頭痛発作日を少なくし、片頭痛の程度を軽減し、トリプタンの効果を改善させるだけではない。

これはどういうことかと言いますと、「片頭痛患者」さんに言えることは、「片頭痛発作日」つまり「トリプタン」を飲むまではないと思える日も常にスッキリしていないという状況があります。これは片頭痛持ち以外の人には全く理解できないことです。
ですが、「片頭痛持ち」と言われる人にとっては当たり前の出来事だと言われています。

「エムガルティ」を注射した患者さんがよく言われるのは「トリプタンを飲まなくて良い日も常にスッキリしない感じだったのが、重たい雲が取り払われ、スッキリした日、クリアーな日が増えました。」と言われることが多いのです。

片頭痛非発作日のperformanceが確実にあがるのです。つまり片頭痛発作日だけでなく、非発作日にもプラスの影響があるのです。

③今までよりも生活が人生が豊かになります。

片頭痛を抱える女性の息子さんが「エムガルティ」を注射してから「ママ 学校から帰ってきても横なっていることが随分少なくなってきたよね」という言葉を診察室で聞くことができました。
やはり日常生活に支障をきたすことが減り、今までの日常より生活が人生が豊かになる可能性が高いと考えています。

以上、この40日程度のわずかな経験ではありますが、片頭痛で苦しむ人がより少なくなることを切に願っております。

片頭痛患者への情報発信の一つとして役割が果たせればと考える次第です。



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最近、ブログへの訪問者が増え、かつコメントも多く、大変嬉しい状況が続いています。
訪問いただきまして誠にありがとうございます。

本日はコロナワクチンと頭痛の関係性についてです。

現在、医療従事者のワクチン接種が終わりにさしかかり、高齢者を中心に現在は接種が行われています。63日の段階で日本では1000万人ほどが接種したことになっています。

 

ワクチン接種後07日目に、注射部位の反応(1回目:70.0%・2回目:75.2%)または全身性の反応(1回目:50.0%・2回目:69.4%)が見られることが分かっています。

 

初回接種後の副反応は、注射部位の痛み(67.8%)・疲労感(30.9%)・頭痛(25.9%)・筋肉痛(19.4%)でした。ファイザー、モデルナ・ワクチンともに2回目の接種後に大幅に副反応の頻度が増加し、疲労感(53.9%)・頭痛(46.7%)・筋肉痛(44.0%)・悪寒(31.3%)・発熱(29.5%)・関節痛(25.6%)となっています。

これらは2回目の接種後1日目に最も多く報告され、また症状が治まるまでの期間は短かったとされています。JAMA. April 5, 2021doi.org/10.1001/jama.2021.5374

 

当院でも、片頭痛持ちの医療従事者の多くが、ワクチン接種後の頭痛に悩まされています。カロナール(一般名:アセトアミノフェン)を処方されているものの、改善なく最終的に手持ちのトリプタンの服用をされた患者さんが結構います。1回目の接種後、数日にわたり片頭痛が続いたようです。

 

この痛みに耐えかねて、2回目の接種をキャンセルしたいことの話が寄せられました。私も5月中旬に2回の接種を終えました。医療従事者だけでなく、一般の患者さんにもアナフィラキシーショックなどの既往がない限り、接種を勧めています。ですから、感染riskの高い医療従事者であれば、なおのこと接種を勧めています。

 

そんな中で、1回目の予防接種後に激しい片頭痛発作に悩まれた40歳代の患者さんが、1回目と2回目の間にエムガルティを注射したところ、2回目の接種後は全く頭痛がなかったという事例が当院ではありました。

 

新型コロナ感染症では、呼吸器症状以外にも、片頭痛様の頭痛が生じるとする報告があります。また、エムガルティを打った片頭痛患者さんが著効して、直後から片頭痛が収まったものの、コロナワクチンを打った途端、片頭痛が一度再燃して消失した事例もあるようです。(この事例については岐阜大学脳神経内科下畑教授より)

おそらくCOVID-19ないしワクチンによるサイトカイン誘発などとともにCGRP放出を促進する機序が想像できます。

 

コロナ感染症およびワクチン接種については、わからないことばかりです。これから65歳以下(片頭痛世代)の接種が本格的になり、このような事例がでてくることが予想されます。症例を集めて、また御報告したいです。

 


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