2017年01月


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さて今日は比較的珍しい話題です。
私が大変尊敬する新潟大学神経内科准教授の下畑先生のブログに記載されていた話でしたが、大変興味ふかい話でしたので、紹介させていただきます。

今日のテーマはアイスクリーム頭痛です。
昨日はダウンタウンの番組で「ガリガリクン」を一度に三個食べていたプロレスラーが「頭痛い」「頭痛い」を連発していました。これがアイスクリーム頭痛です。アイスクリームよりかき氷のほうがなりやすいと思います。実際「ガリガリクン」は氷菓ですので、かき氷を固めたものですから、なりやすいのだと思います。

今回はドイツからこの研究がなされました。
ひょっとしたら「イグノーベル賞」の候補になるかもしれません?!

1.「遺伝するのか?」
2.「研究に不可欠な誘発法は角氷か氷水か?」
3.「ねこにもあるのか?」
という3つの問題が解決されました.

1.アイスクリーム頭痛の遺伝
①アイスクリーム頭痛は子供に多く,成人では少なくなる
②アイスクリーム頭痛には遺伝的素因がある。
③アイスクリーム頭痛はその他の頭痛(主に片頭痛)の危険因子となる。

2.実験的アイスクリーム頭痛
氷水のほうが角氷より頭痛をより高頻度に誘発した。
氷水で頭痛はより早く出現し、痛みの程度も強かった.
頭痛の出現場所は変わらなかった。
頭痛の性状は、角氷では圧迫するような痛み,氷水では突き刺すような痛みであった。
氷水による頭痛の26%に,最初の頭痛のあとに2回めの頭痛が出現した。
流涙はアイスクリーム頭痛を認めた人で多く認められた。

以上より,氷水は角氷と比べ,高頻度に,出現潜時の短い,より強い頭痛を来すことが分かった.このことは温度より冷却される部位の広さや,冷却のスピードが重要であることを示している.

3.ねことアイスの実験

以下の動画はねこのアイスクリーム頭痛です。面白いです。ご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=-5Rka0TyrYw&feature=youtu.be

ネコにもアイスクリーム頭痛ありそうです。

大変おもしろい研究です。
内容をみれば、非常にリアリティーのある結果ですし、この話を教えていただいた下畑先生は全て自分で挑戦され、自分の家のネコにも試されて、同様の結果を出されています。

「イグ・ノーベル賞」に一票!


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今日は最新の研究報告からです。
このネタは仙台頭痛クリニックの松森先生がfacebookにupされたので初めて論文を読ませていただきました。

片頭痛の患者さんならご存じというか経験済みだと思います。
片頭痛はあらゆる感覚が過敏になります。
この兆候は特に男性よりも女性に強く表れます。

例えば光過敏。
頭が痛いときは暗い部屋がいい。明るいとイライラしたり、余計に頭がいたくなる。

音過敏。
これは静かにしてくれないと、イライラする。余計に頭が痛くなる。

知覚過敏。
頭が痛いと、痛い部分の髪の毛を触っても頭が痛くなる。

そして匂い過敏。強い匂いが余計頭痛を悪化させるものです。
このように、あらゆる近くが過敏になる症状がみられます。
今回の論文は、花の香り1分間嗅いでもらい、その後の反応をみるという実にsimpleな実験です。

片頭痛患者さんの34.7%で頭痛・6.9%で吐き気が誘発された。

ところが、片頭痛以外の頭痛では頭痛も吐き気も起きなかったという論文です。

つまり、頭痛持ちで匂い過敏があれば、それは片頭痛である可能性が高いという論文なのです。

実にsimpleでわかりやすい結果で、即実臨床につなげられる。大変いい論文です。
皆さんはそういう経験ありませんか?一度でもあれば、片頭痛の可能性が高いようです。

表題:May headache triggered by odors be regarded as a differentiating factor between migraine and other primary headaches?


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今日はタイトル通りの話になります。
これも患者さんから直接聞いた話です。

「先生・片頭痛って痛くなるどれくらい前からおこりはじめているんですか?」
いい質問ですよね。
答えられません。納得していただけるような答えを用意できていませんでした。

人によっても違うだろうし、その人でも一回ずつおこりかたは違うので、毎回毎回違うんではないでしょうか?!と答えるのが精一杯なのです。難しい質問ですね。

患者さん自身も痛くなる前から諸症状がおきることはよくわかっていらっしゃいます。
例えば最も有名な「視覚的前兆を伴う片頭痛」は何かおかしいなあと思っているうちに「視覚的前兆」がきます。通常、視覚的前兆が終わって10-20分程度で頭痛がしてきます。

ですが、視覚的前兆が片頭痛の始めかと言えばそうでもなくて、視覚的前兆の前から体の異変がおきていますので、頭痛の少なくとも1時間以上前から片頭痛が始まっているといっていいと思います。

いろんな患者さんの話を総合すると
①何となくおかしいを感じる。
②胃や腸の動きがとまる。
③肩甲骨の内側から首筋・肩が張ってくる。
④顔が腫れぼったくなったり・倦怠感を感じたりする。
⑤頭痛が始まる。

人によって違いますが、このような感じで片頭痛がおこってくることが多いですよと話しています。
ですから、①のなんとなくおかしいは頭痛の2-3時間前から感じることもあれば、もっと前から感じるケースもあり一定していないようです。

一人一人違うわけですが、片頭痛患者さんではよく自分の体の変化を見詰めていただいて、頭痛のおこってくるパターンを検討すれば、もっと早く対応できるポイントを見つけられる可能性があります。

是非、皆さん自分の体の変調に耳を傾けて見てください。
そして、教えてください。

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新年あけましておめでとうございます。
昨年中は大変お世話になりました。
今年も木曜日を中心にブログのupを継続していきたいと思います。何卒、宜しくお願いいたします。

今日はタイトルのような少し厄介なお話です。
CADASIL(cerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencepahlopathy)という病気のお話です。大変長い名称ですので、CADASILと略して話すことが多い疾患です。

日本語にしますと皮質下梗塞と白質脳症を伴った染色体優性遺伝脳血管症という訳語になる疾患です。

臨床上の特徴としては
①20~40歳代で前兆を伴う・あるいは伴わない片頭痛がみられる。
②高血圧・糖尿病・高脂血症などの脳血管障害の危険因子を持たないのに、40-50歳代で比較的若年で脳梗塞を繰り返す。
③60歳過ぎる頃には進行して認知症症状や仮性球麻痺(構音障害・嚥下障害etc.)を呈する。
④家族に類似症状を呈する。
⑤有病率は2人/10万人 平均発症年齢は45-50歳 性差なし

上記を満たす患者さんでは、上記のCADASILが疑われ、確定診断のために遺伝子検査を含む各種検査を行われる。

決してよくなる病気ではなく、これといった的確な治療方法もない疾患だけに、こわいものです。

昨年たまたま当院でも2例の疑わせる患者さんがいらっしゃいました。
1例の患者さんは遺伝子検査をしていただき、診断が確定したようです。
またこの疾患は高頻度で認知症も併発します。

またMRI検査上も特徴的な所見が多数みられます。
このMRI検査は、FLAIR画像なんですが両側の側頭葉の先端部に白く映る病変が特徴的な所見です。
決してよく見る疾患ではありませんが、非常に特徴的な所見で一度見たら、なかなか忘れない所見でもあります。

また白質変性といって、さきほどのFLAIR画像で白く描出される病変が年々増えていくことも知られています。

現時点では治療する手段がなく、厄介な片頭痛発作を呈する疾患です。

片頭痛で長く通院していて、安定していると画像検査もなかなか行わないのが現状ですが、稀な疾患ではありますが一度checkして、以前との比較をしていただくのも大事な事だと思います。

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