2012年10月

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 前回同様に片頭痛治療薬(トリプタン製剤)を変更(change)か追加(on)するかの話です。

 基本的にトリプタン製剤は効果がない。
 もしくは、トリプタンを変更しても効果がなければ、トリプタンにあまり効果がないタイプ(ノンレスポンダー)という可能性があります。

 私の個人的な見解ではノンレスポンダーは全体の5%程度だと思います。
 5%もいるのか?5%しかいないと思うかは個人差があると思いますが、5%程度だと考えます。

 次にonする場合は、効果はあるんだけど十分ではないという場合です。
 あとは、月経と関係ない片頭痛はいいんだけど、月経前後の片頭痛では効果が弱いという場合には、やはりトリプタン製剤にNSAIDsをonする「併用療法」が効果的だと考えます。

 併用と言うのは私にとっては両方の薬を一緒に内服すると言う意味です。
 患者さんでも、最初は鎮痛剤内服して効果がない時にトリプタンを内服する方は多くいらっしゃいます。私はこれは「時間差療法」と言います。

 わからずに時間差になるのは仕方ないにしても、ある程度timingがわかれば別々に内服するよりは一緒に内服したほうが明らかに効果的です。

 それぞれの薬剤の効果が異なりますので、一緒に内服していただいても全く問題はありません。
 併用することで、早い時間から長く効果が持続することになります。

 次回は、どういう薬剤を併用したらいいかを話します。


 今日は実際的な問題について書いてみます。

 トリプタン製剤が効果が十分でない場合に、トリプタン製剤そのものを変更する(change)、もしくは現状のトリプタン製剤に何かを加える(on)かという問題は大変難しい問題です。

 まず一番最初に解決しなければいけない問題は?
 ①診断が正しくて、タイミングよく薬が内服できているのか?
 これです。初めて来院されて、初めて診断されて、初めてトリプタンを内服するケースでは判断できにくいと考えます。ですから効果が十分でないのか?十分効果が出るような内服ができているのか?そういう問題をはっきりさせる必要があります。

 次に問題なのは?
 ②今のトリプタン製剤が、内服していただいている患者さんの片頭痛のタイプにマッチしているのか?
 これは、以前も書きましたが「ウサギ型片頭痛」か?「カメ型片頭痛」かの問題です。
 ウサギ型なのにアマージでは効果が薄いし、カメ型なのにマクサルトでは薄いのです。

 この①②の問題をclearしているのに効果が弱い。もしくは効果がない時には変更「change」もしくは追加「on」を選択することになります。

 全く効果がなければ「change」が妥当です。どれからどれが相性がいいかは話を聞いたうえで判断することになりますので、ベストな変更と言うのは個々人で異なります。
 また効果があるが、効果が「薄い」もしくは「長続き」しない場合には、通常は鎮痛剤(NSAIDs)の追加「on」をすることが一般的です。私は一般に併用療法と読んでいます。

 カロナール・ロキソニン・ボルタレン・ブルフェン・セレコックスあたりとの併用療法が一般的です。

 今日も長くなりましたので、またこの続きを次回にします。

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 発表者:アルバート・アインシュタイン医科大学 Dr.Ashina et al.

 雑 誌:J Headache Pain誌オンライン版(2012年9月25日号)

 片頭痛の慢性化とうつ病との関係を検討した。

 結 果:
 1)2005年に片頭痛エピソードがみられた患者6,657例のうち、翌年160例(2.4%)が慢性片頭痛を発  症した。また、2006年に片頭痛エピソードがみられた患者6,852例のうち、翌年144例(2.2%)が慢  性片頭痛を発症した。

  2)完全調整後の結果によると、うつ病は慢性片頭痛発症の有意な予測因子であることが示された 
  (OR 1.65、95%CI:1.12~2.45)。
 
  3)うつ病でない人や軽度うつ病患者と比較した慢性片頭痛発症の相対リスクは、中等度患者(OR   1.77、95%CI:1.25~2.52)、重度患者(OR 2.35、95%CI:1.53~3.62)、非常に重度な患者(OR   2.53、95%CI:1.52~4.21)であった。

  4)片頭痛エピソードを有する患者において、うつ病は慢性片頭痛発症リスク増加との関連が認めら  れた(社会人口統計学的変数や頭痛の特性で調整後)。

 片頭痛が慢性化する要因はいくつかあげられています。
 うつ病は大きな危険因子の一つです。
 永関頭痛クリニックの永関先生は抗うつ剤の投与にて改善できることを以前からご報告されていますので、ひとつの大きな治療法だと思います。
 ただし頭痛とうつだけではない問題もありますので、それほど簡単ではないように思います。

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 随分長くなりました。起立性調節障害の4回目です。

 (1)~(3)で大きな枠組み・診断基準・サブタイプについて話しました。
 何回読んでも漠然とした話で、ピンとこないというのが現状ではないでしょうか?!

 診断は臨床症状だけですので、採血や心電図や画像検査などは不要です。起立血圧試験というものが大変大きい役割を占めています。

 治療は、非薬物療法と薬物療法があります。
 ○非薬物療法
 1)運動療法
   散歩程度が好ましい
   起立時には、いきなり立ち上がらずに、30秒程かけてゆっくり起立します。

 2)日常生活
   早寝早起きなどの規則正しい生活リズムを心掛ける。

 3)弾性ストッキングやODバンドなどを利用すると効果があります。

 4)食生活・・・味の濃いものを食べる

 ○薬物療法
  メトリジンなどの昇圧剤などを使う

 ここで問題になるのは
 ①私も含めてまずきちんと診断がつけれない。
 ②診断をつけてもそれが治療につながらない。
 ③治療しても、あまり効果的でない。
 ④こういう状況であるために、家族も含めて大変になる
 ということです。

 前回も書きましたが、基本的には私はODと頭痛は基本的に別個だと考えて治療しています。

 あちこちの病院を経てこられる患者さんは、ODと診断されてメトリジンを処方され、それで改善なければ治療はないと言われている患者さんが多くいらっしゃいます。
 また単なる不登校(これは適切でないんですが、あえて使います。単なる不登校はありませんので、、、)をODだと言われていて、かえって複雑化しているケースなどたくさんおケースをみてきました。
 
 青春期の心理的な問題を抱えた患者さんの受け皿的な診断になっていることが大変納得いきません。

 今後、我々が切磋琢磨してもっとわかりやすい診断基準を作って、不定愁訴をひっくるめた症候群ではないようにしていかないといけない症候群だと思います。

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