2012年05月

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先日も清水先生の提唱されている「脳過敏症候群」のお話をしました。
昨日は、その際に治療薬として名前がでていた「デパケン」の製造会社から、意見を求められたりしましたが、やはり各地で反響が大きいようです。

私のスタンスとしては
�脳過敏症候群という病気は必ずある
�しかし、それほど割合が多いものではない
�もう少し症例の積み重ねが大事である
この3点です。具体的に挙げればもっとありますが、上記�~�が今の私の考え方です。

今日はそれだけではないのですが、清水先生が話されたことで大変興味あった話があるのでそれを紹介します。「数多くの患者さんを診れば診るほど何か見えてくる」という言葉です。

彼は1ヶ月に25日診療を行い、1日平均186人の患者さんをみるそうです。超人的な仕事ぶりです。
朝7時30分から診療を開始して20時くらいまで見続けるようです。

確かに女子医大の頭痛外来では、一番最初から最後までみるのが清水先生で大変忙しいとのことでしたので、1日186人も患者さんが見れるんだと思いますが、私は真似はできません。

だからこその言葉だと思います。数多く診れば診るほど何かが見れるように頑張りたいです。

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 本日は片頭痛の最新研究です。

 重度の頭痛患者さんの自殺企図について調べた論文で大変興味深い論文です。

 雑 誌:Headache (H24/3/9)

 所 属:Michigan state University

 報告者:Naomi Breslau et al

 対象者:片頭痛500人+片頭痛以外の重度頭痛患者150人 VS 重度の頭痛のない患者900人

 結 果:自殺企図について片頭痛群約9%、片頭痛以外の重度頭痛群10%、頭痛のない群1%

 結 論:なぜ片頭痛患者さんや、片頭痛以外の重度頭痛患者さんの自殺企図が高いことはじじつであるが、その原因は詳しくわからない。精神的要因特にうつ病を併発していることが考えられているが、それだけではない。片頭痛はセロトニンが関与しているので、その影響もあるのではないかと述べている。

 興味深い報告であるが、私自身は今までにみていた患者さんが自殺を引き起こしたことは一度も経験しない。日本人ならこのような研究はまずしないと思われるが、外国人にとってはこのような研究珍しくないようです。
 精神的に不安定になることはあっても自殺企図までいくとは通常考えにくいが、興味深く拝見しました。

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 先週月曜日午後8時からTV東京系列で医療系の情報番組がありました。

 私はその時間はまだ帰りついていないので見ていません。
 ただfacebook経由で、出演された先生から出演することとその先生が説明したような患者さんが来院されるので、ご迷惑おかけします旨の連絡があってました。

先週の水曜日から1日平均3人、その番組を見て来院される患者さんがいらっしゃいます。

 その番組で取り上げられたのが「脳過敏症候群」という最近その先生がとりあげられた疾患概念です。

 前回NHKの「試してガッテン」に出演された際にも同じ現象が当院でもおこりましたし、このブログにもその話を書きました。実際問題、そのような患者さんは多くないのが事実です。

 「試してガッテン」の際に来られて、治療を開始された患者さんが5人ほどいらっしゃいましたが、4人の患者さんは改善効果を経験できず受診されていません。1人は継続されるかどうかで検討中というのが現状です。

もちろん見る先生が違えば、診断も変わるし治療も変わるのでしようが、私の率直な感想として、それ程「脳過敏症候群」は多くないと考えています。

藁をも掴む思いで来られた患者さんにとっては残念なことですが、それが現実なのではないかと思います。この概念は何回か聞いていますが、少し風呂敷が大きく、症例の検討を行い厳密な問題になるともっといいのだけれどと思う日々です。

私ももう少し努力していきたいと思います。

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論文:Neurology 2012年4月24日号

発表者 ジェーファソン大学頭痛医療センター Silverstein先生

 片頭痛の予防薬は多数あるが、ほとんどの片頭痛患者が使用していないことが新しい研究で示された。米国神経学会(AAN)および米国頭痛学会(AHS)が作成した新しいガイドラインでは「約40%の片頭痛患者が予防薬を必要とするが、実際使用しているのはその約3分の1に過ぎない。薬剤には処方薬、市販薬、ハーブ(薬草)があり、どれが最も有効かは患者による」と述べている。

 処方薬では、ジバルプロエクスナトリウム(日本国内未承認)、トピラマート(商品名:トピナ)、バルプロ酸ナトリウム(商品名デパケン)などの抗てんかん薬、メトプロロールやプロプラノロール、チモロールなどβ遮断薬として知られる降圧薬が片頭痛の発作回数を減少させ重症度を低減する強力なエビデンス(科学的根拠)がみられる。

・抗てんかん薬のラモトリギン(同ラミクタール)は片頭痛を予防しない。

・片頭痛治療のために開発された薬剤の1つfrovatriptanフロバトリプタン(日本国内未承認)は、月経関連の片頭痛に有効と思われる。

・抗 うつ薬のvenlafaxineベンラファキシン(日本では開発中止)にはいくらかの予防効果がある。

・市販薬のイブプロフェンおよびナプロキセン、リボフラビン(ビタミンB2)およびセイヨウフキも予防に役立つ可能性がある。

 Silberstein氏は、もしすべての薬剤の効果が同等ならば、使用薬剤の適応となる他の疾患を考慮し、副作用をもたらさないものを使用すべきである。
 例えば肥満患者であるならば、副作用が体重減少であるトピラマートが最適の選択法となる。市販薬やハーブを服用していても、すべての薬剤において副作用や他剤との相互作用が生じる可能性があるため、フォローアップのために医師に診てもらう必要がある」と述べている。

 別の専門家は「片頭痛は治癒しないが、予防薬は片頭痛の発生率を50%以上低下させ、発生する頭痛の重症度および期間を低減する可能性がある。患者は選択肢について、医師と話し合うべきである」と述べている。

 全体の40%が予防薬の必要性があって、そのうち使用している人が1/3という数字は私が外来で見ていても十分理解しうる数字ではないかと思います。
 予防薬をうけいれにくい環境や、実際使っても思うほど効果が出ていない状況なのが、このような結果になっているのではないかと思います。

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前回からトリプタン製剤についてお話しています。

 トリプタン=セロトニン1B/1D受容体作動型治療薬といわれていて、拡張した脳血管を収縮させて、血管周囲の炎症を鎮める働きがあります。

 ですので禁忌として
 �心筋梗塞・狭心症のように心臓の血管が収縮しては都合の悪い患者さん
 �脳梗塞のように脳血管を収縮しては都合の悪い患者さん
 �血圧の管理が十分できていない患者さん

 には使えません。
 副作用としては
 �前胸部から上の締め付け感
 �倦怠感・眠気
 がみられます。

 私自身はかなりの数を使ってきていますので、無症候性脳梗塞といって症状のない脳梗塞の患者さんでも場合によってはトリプタンを使うことがあります。もちろん状況的に問題なく、かつ患者さんに十分承諾をうけてからということになります。

 また副作用についてもpositiveに考えていて、副作用が出る人は効果がある人です。上手に使ったら頭痛から解放されますと説明してあげます。
 ある程度副作用に目をつぶって頭痛が軽快するようであれば、その点を強調して、副作用を使い方や内服薬の変更で軽快させて、上手にcontrolしてあげるという方法をとります。

 内服して眠気が出たら可能であれば眠ってください。20分くらいでも眠っていただければ、目が覚めたら随分スッキリすると思いますというように説明しています。実際、内服して一定の時間眠れれば改善していることが圧倒的に多いようです。

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