2011年12月


 今日は、このブログにも質問がありましたので片頭痛と脳梗塞の関係について考えてみたいと思います。

 今、日本頭痛学会で問題になっていることは、生命保険を加入するにあたり片頭痛患者さんは脳梗塞の危険性が高いということで拒絶されるケースが増えているとういうことです。

 実際問題として普段の臨床の場で感じることを書きますと、
 ①基本的に片頭痛患者さんは血圧が低い患者さんが多く、高血圧の患者さんが少ない。
 ②脳梗塞の一番の危険因子は高血圧ですので、片頭痛患者さんは脳梗塞に比較的なりにくいものと考え
  られる。
 ③若い頃から頭痛持ちだった70歳以降の患者は比較的に脳の検査をしてもきれいな患者さんが多い。
 ④一方、片頭痛の20~30代の患者さんで明らかな脳梗塞の既往がないのにMRIにて脳梗塞がみられるこ
  とが稀にある。しかし、いずれもが無症候性脳梗塞といって症状がない脳梗塞である。

 今までの論文をみますと、いろんな先生方が同じ傾向であることを発表されています。
 ①Bousser先生が2000年45歳以下の片頭痛患者さんは脳梗塞合併率が高いことを発表。
 ②Kruit先生は2004年片頭痛患者さんははく質病変が多いことを発表。
 ③Schurks先生は2009年片頭痛患者さんの脳梗塞発症の危険性は一般に比べて1.23-2.16倍高いと発表。

 このようにいくるもの論文が発表されています。
 実際問題としてきちんとした統計をとっていませんが、概ね私も同じ印象です。

 しかい、ここで大事なことは多いのが事実であるが、多くが無症候性脳梗塞であまり日常生活一般に問題がないということをぜひ強調させていただきたい。
 ですから、私自身は片頭痛のcontrolが良好な患者さんには、この話はほとんど話しません。逆に十分なcontrolができずに薬物乱用頭痛になるような患者さんには話をしています。

 結局的には頭痛学会でも統一見解がなく、日本からのきっちりとした研究結果を出していかないといけない問題だと考えています。
 

 このブログの始まりはH19年12月27日なのですが、丸4年を迎える前に閲覧者が40000人を突破しました。
 
 こんな拙いブログをお読みいただきまして誠に感謝しております。
 289ネタですので、1ネタあたり140人くらい読んでいただいている計算です。
 また1年に10000人が見ている計算です。
 
 最近になって書く頻度が減っていて恐縮ですが、これからもがんばってtいきたいと思います。
 
 またうちの診療所のカルテ番号もほぼ同じタイミングで10000番を越えました。
 たまたまタイミングが同じになっていますが、これもまた感謝です。
 
 更に気合いをいれて頑張っていきたいと思います。
 
 これからも何卒よろしくお願いいたします。

 10/25・10/26と埼玉で行われた日本頭痛学会に行って参りました。
 
 最近はどの学会でもそうなんですが、木曜日・金曜日とか金曜日・土曜日に行われることが大半でして開業医は参加するのが大変難しくなってきています。
 勤務医の先生は代わりがいることが大半ですが、開業医にはそれができません。
 何とか頭痛学会だけは毎年と思って10/25を休みにして参加してまいりました。
 
 今年は大きなテーマは「頭痛と自律神経」ですが、テーマに沿った演題は多くありませんでした。
 また昨年に比べますと
 ①デパケンが片頭痛の予防療法の適応がとおりましたので、その関連演題がみられた。
 ②RCVSという比較的新しい疾患概念があるのですが、それについての報告が多かった。
 というような印象です。
 
 また今年は参会者が例年よりも少ない印象でしたし、大御所の先生よりは若手の先生が増えた印象です。
 
 私も初日に発表してきました。「薬物乱用頭痛は虚血性変化が強いのか?」という演題です。
 結局のところ片頭痛と比較して、変化ないという結論です。
 私自身はあまりできがよくなかったのですが、フロアからの質問もあって、ホッとしています。
 
 来年も同じ時期にあるようです。また1年しっかり診療して来年発表できるように備えていきたいです。

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