2011年10月

 皆さんご存じのように、3人組ユニットglobeのボーカルで、音楽プロデューサー・小室哲哉(52)の妻のKEIKO(39)さんが、24日夕方に都内の自宅で頭痛を訴え、小室が119番通報。くも膜下出血で救急搬送され、5時間にわたる緊急手術を行ったことが明らかになった。
 
 くも膜下出血は今までに経験したことのないような激しい頭痛で発症する病気です。
 皆さんもご存じのように昨年巨人軍の木村拓也コーチが広島球場で倒れて亡くなった病気でもあります。
 くも膜下出血になられた有名人と言えば南田洋子・木原美智子さんなどたくさんの有名人がいらっしゃいます。
 
 男女比で言えば3:2で女性に多く。脳動脈瘤が破裂しておこるものが大半です。
 非常に亡くなられる人の多い病気で、1年間で全国で15000人以上の方が亡くなられます。
 年齢でいえば50-70歳代に多い病気ですが、20-30歳代でもなられる方もあり、そういう意味では39歳は若い方ではありますが、珍しい年齢ではありません。
 
 当院にもくも膜下出血を心配されて来院される患者さんもいらっしゃいましたが、kEIKOさんの1日も早い回復をお祈りしています。

 試してガッテン騒動もやっと鎮静してまいりました。
 当初は毎日のように患者さんがいらっしゃいましたが、先週は2人くらいになりました。
 
 もちろん脳過敏症候群を疑っていいような人もいましたので、デパケンを処方させていただいた患者さんもいらっしゃいます。中には両耳の難聴・耳鳴りのひどい患者さんがいらっしゃって、その患者さんが特効薬があると聞いてきたと言って、「試してガッテンで言っていた。処方してくれ~!」とこられましたので適応外ですと言って丁重にお断りしたケースなどもあります。
 
 医者専用の掲示板でも大変話題になっていて、賛成される先生よりも反対される先生方のpowerが圧倒しているようです。確かに短い外来の時間で説得するのは大変ですし、①以前から困っていて ②天下のNHKが ③特効薬のように言うということで患者さんの期待も高く、それで断られるとなかなか後に引けず、時間がかかる。先生方も大変迷惑だという図式です。
 大変よく理解できます。中にはdoctor shoppingされていらっしゃる患者さんもおいでのようです。
 
 さて、私が投与した患者さんの中にも効果がでてきた患者さんもいらっしゃいます。
また、このような治療の仕方は以前からあったわけで、それを体系化され名前をつけられた清水先生はそういう意味で大変立派だと思います。ただもう少し取り上げられ方が違っても良かったのではと思います。

 実は先週からNHKの試してガッテンに振り回されています。
 私自身は見れていません。その番組は、、、。
 なのでえらそうなことは言えないのですが、番組をみた患者さんの話を総合しますと東京女子医大の頭痛外来客員教授である清水俊彦先生の監修だと思いますが「脳過敏症候群」についての話だったようです。
 
 この「脳過敏症候群」については清水先生自身が本も書かれていますし、昨年の頭痛学会でも独協医大の神経内科教授の平田幸一教授と一緒に発表されたこともあり、私も研究会や学会で数度話は聞いていました。
 
 この1年でいわゆる清水先生のいうところの「脳過敏症候群」と思われる患者さんは数人いらっしゃいましたし、実際デパケンやトリプタノールで落ち着いた患者さんがいらっしゃたのは事実です。
 
 おそらくNHKの伝え方が悪いんだと思いますが、全く関係のないと思われる人までも脳過敏症候群だと言って受診されてきてあって、困っています。
 実際、治療していただけない人にこのような方法があることを知らせることができたことは大変いいことですが、伝え方に問題があるのではないでしょうか?
 電話で受け付けにも「そちらでは脳過敏症候群の治療ができますか?」みたいな問い合わせもありますし、門前薬局にも似たような問い合わせが来ているようです。
 
 あくまでも「脳過敏症候群」今提唱されている疾患概念であって、多くの先生方に納得いただいているわけではないこともまた事実でありますので、そこらあたりまできちんと伝えてほしいと思うばかりです。
 
 このネタは医者の間でも議論になっていて、その掲示板はたくさんの先生からの否定的な意見が書きなぐられています。すべてを否定するのも問題でして、やはりNHKは国営放送で民放ではないですので、それなりの影響力があることを考えて放送してほしい願うばかりです。

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