2011年02月

 
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このたび、日本頭痛学会指導医になることになりました。
このような立派な認定証まで送っていただきました。
飾るところもないので、一応診察室の本棚の上のほうに載せています。
患者さんにとっては頭痛専門医と頭痛指導医では、どっちがどうかなど全くわからないと思いますが、一応専門医になって、しばらく研鑽を積んで認証されると指導医になるというシステムのようです。
これはそれぞれの学会や認定医・専門医・指導医などのシステムによって異なるようです。
 
まあ、なれないよりなったほうが嬉しいわけですし、いただけるものなら頂きたいということですが、また責任も重たくなるわけで、更に研鑽を積んで患者さんに還元していきたいと思っています。

 今日も新しい研究報告です。
 
(雑誌):Plastic and Reconstructive Surgery 2月号
 
(著者):Dr.Bahman Guyuron
 
(所属):Case Western Reserve(オハイオ州)大学医学部
 
片頭痛患者69人にボトックス注射を用いて痛みの原因となっている誘発部位を特定。
神経にかかる圧力を軽減するため前頭(額)周辺の筋肉を切除する手術のほか、こめかみおよび後頭部の誘発部位を対象とする手術を施行する。
5年間経過を追跡した結果、88%に症状の改善がみられ、59%は症状が大幅に軽減、29%では片頭痛の消失が認められた。
米サザンカリフォルニア頭痛センターのJack Schim博士は「顔面手術は最後の手段と考えるべきものだ」と指摘している。同氏は、自身の患者にボトックス治療も利用しており、患者の70~75%には頭痛の十分な改善または完全な消失が認められているという。米国食品医薬品局(FDA)は、昨年(2010年)10月に慢性片頭痛の治療としてボトックスを承認している。
 
眼瞼下垂患者さんに形成外科で、きれいに手術してあげると頭痛が減ったというデータを以前見せていただいたことがあって、基本的には同じ考え方ではないかと思います。
ボトックスだけでも片頭痛がかいぜんするというデータもありますので、かなりバイアスがかかっているデータだとは思いますが、これは最終手段としてはありかなと思います。

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 昨日は、私の母校で頭痛研究会がありましたので、行って参りました。
この研究会は3年前から年に2回のペースで頭痛を勉強しようとする会なのですが、前回が5回目だったので、6回目はひとつの区切りがついたので招待講演をしようということになり、頭痛大学のホームページでも有名な間中先生にわざわざきていただき、講演をしていただきました。
 脳外科・小児科・神経内科・総合診療科・学生さん・看護師さんなど100人近い人が参加していただきました。
行われた場所が1/4にopenしたばかりのメディカルホールで、まだ新築の木の香りがするホールで行われました。1時間を越える充実した話はいつものことですが、五感を刺激するスライド構成には頭がさがります。
 学生さんもいたので非常に初歩的なことから今のtopicsにいたるまで幅広い内容でした。私にも目からウロコな話も多く、また会場から内容の濃い質問もあって大変有意義な時間となりました。
 私も主催者側の特権ではないのですが、終わってから一緒に写真をとってもらいました。実は私が今月末に東京で頭痛の研究会で話をすることが決まっています。その座長も間中先生でしたので、そのことも少しお話をしておきたかったのですが、それは時間の都合でできませんでしたが、また東京でお会いしてお話をしたいと思っています。

 片頭痛患者さんは脳梗塞をおこしやすいという話は以前からあって、おこしやすいという意見とそうでもないという意見の両方があって、未だ結論はありません。私は個人的な経験ですが関係ないと思っています。先生方の中には、片頭痛を放っておいたら脳梗塞になりやすいと患者さんに啓蒙している人もいますが、僕はそのような説明はしていません。
 今回は、それについての論文で、前兆を伴う片頭痛は脳梗塞をおこしやすいという論文です。
 
(雑誌):BMJ誌2011年1月22日号(オンライン版2011年1月18日号)掲載の報告
 
(報告者):Dr. Tobias Kurth
 
(所属):フランス国立衛生医学研究所神経疫学
 
(検討項目)頭痛と大脳白質病変、脳梗塞、認知機能との関連について評価を行った。
 
(対象):頭痛に関する詳細なデータが得られた780人(平均年齢69歳、58.5%が女性)。頭痛の評価は、ICHD
-Ⅱに基づいて行った。MRIで大脳白質病変の大きさおよび梗塞の種類を決定し、認知機能はミニメンタルステート検査(MMSE)など複数の試験で評価した。
 
(結果)163人(20.9%)が重度頭痛(片頭痛116人、非片頭痛47人)の既往歴を報告した。
片頭痛のうち前兆症状を伴うと答えたのは17人(14.7%)であった。
大脳白質病変総容積を三分位数に分けて解析したところ、総容積が下位3分の1で重度頭痛歴のない集団に比べ、上位3分の1の集団では重度頭痛歴の補正オッズ比が2.0(95%信頼区間:1.3~3.1、傾向検定:p=0.002)であった。
前兆を伴う片頭痛のみが、大脳深部白質病変の大きさ(総容積下位3分の1に対する上位3分の1の集団のオッズ比:12.4、95%信頼区間:1.6~99.4、傾向検定:p=0.005)および脳梗塞(同:3.4、1.2~9.3)と強い相関を示した。
梗塞の大部分は小脳や脳幹以外の部位に認められた。認知機能が、頭痛や脳病変の有無と関連することを示すエビデンスは確認できなかった。
 
(結論):重度頭痛歴と大脳白質病変の大きさには相関関係がみられたが、脳梗塞との関連は前兆を伴う片頭痛に限られた。頭痛単独あるいは頭痛と大脳白質病変の併存が認知機能障害と関連することを示唆するエビデンスは得られなかった。

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