2010年10月

 毎年10月29日は “世界脳卒中デー”です。
 
 みなさんご存じですか~?
 世界禁煙dayや世界アルツハイマー病dayなどいろいろあります。
 日本としてはむしろ脳卒中週間のほうがなじみがあるかもしれませんね。
 
 世界脳卒中機構(WSO)は,世界では,6人に1人が脳卒中を発症し,年齢,性を問わず6秒に1人,毎年600万人が死亡している。同キャンペーンは,この事実を広く伝え,脳卒中の予防と,脳卒中患者の生活の質の向上を訴える活動を行っています。
 
 世界脳卒中デーは,さまざまな支持団体,患者支援ネットワーク,ボランティア団体,公衆衛生当局,医師,看護師,市民団体など,関係者が協力し合い,脳卒中の総合的な教育,支援運動,予防,治療,脳卒中患者の長期にわたるケアや支援を行うことを目指して設けられた。世界中のWSOメンバーらは,この日,命を救うためのシンプルなメッセージ「Do not take chances. One in six people is at risk for stroke – it could be you. Learn the facts. Save a life today. Act Now!」を団結して訴える。なお,日本での発症は5人に1人“One in Five”。9人に1人が死亡している。
 同キャンペーンは,次の6つの簡単な行動目標を掲げている。
  1. 自分の危険因子を知ろう:高血圧,糖尿病,脂質異常症が代表的な危険因子です
  2. 日ごろから身体をよく動かして,定期的な運動に努めよう
  3. 健康的な食事で肥満を防ごう
  4. 飲酒はほどほどに
  5. たばこの煙を避けよう。喫煙者は直ちに禁煙外来を受診しよう
  6. 脳卒中の徴候(症状)を学び,発症時に分るようになろう
 非常にわかりやすいフレーズですよね。日本には脳卒中10ヶ条のほうが有名ですが、これも非常に響きのいいフレーズになっています。

イメージ 1 みなさんはオリバーサックスの「片頭痛大全」という本をご存じでしょうか?
 
 ハヤカワ文庫から1029円で販売されている本で、作者は映画「レナードの朝」の作者でもあります。500ページを越える大作です。
 
 文庫は2000年の出版で、増刷されてはいませんので、アマゾンなどで購入しないかぎり近くの本屋さんでは、恐らくお目にかかれないものと思います。
 
実は私も最近購入しました。
 
 この本にも書いてありますが、片頭痛は頭が痛くなるだけの病気ではないということが書かれています。
 
 片頭痛の患者さんにとっては「ある・ある」なのかもしれませんが、片頭痛ではない患者さんにとっては「へ~・へ~」というような内容が満載です。
 
 今から頭痛診療を始めようという先生にとっても非常に示唆に富むいい本です。
 
 是非と思われる方はインターネットなどで探してみてください。
 
 目からウロコですよ。

 群発頭痛の新患さんが今日も来院。再診の患者さんもきたりで、現在群発時期の患者さんが4人いらっしゃいます。群発時期ですね。
 
 今日は女性の群発頭痛の患者さんから、大変いい勉強をさせていただきました。
 
 「群発頭痛はお産より辛いんです。お産は周りの状況で、進み具合もわかるし、何より産まれるという喜びがあります。でも群発頭痛はいつ終わるともわからない辛い痛みです。」
 
 鼻をグシュグシュさせてお話していただきました。
 
 患者さんからは本当に勉強をさせていただきます。
 
 群発頭痛>お産の痛み
 
 確かにとうなずく点もありますね。女性の群発頭痛の数は少ないのですが、本当に特徴的であり、草食系男子・肉食系女子などと揶揄されていますが、女性の群発頭痛は全国的にも増えていますね~。

 今日は最新の頭痛研究についての報告です。
 
 オハイオ大学のKenneth A. Holyoyd    BMJ 9月30日オンライン版
 
 30日間のうち少なくとも3日,前兆の有無にかかわらず片頭痛を来す患者を対象に,β遮断薬による片頭痛への予防効果を検討。β遮断薬の予防投与と行動療法の組み合わせにより,片頭痛の程度やQOLが有意に改善した。
 
 トリプタン系薬の登場により,急性期の片頭痛でも著しい改善が見られるようになった。しかし,発作が月に2~3回以上ある,頻度が少なくても重症度が高く持続が長いなどの特徴を有する場合は予防的にβ遮断薬が投与される。また,非薬物療法として,リラクゼーションの確保やストレス管理などの行動療法も片頭痛の予防法に取り入れられている。
 そこで,Holyoyd氏らは,前兆の有無にかかわらず国際頭痛分類により片頭痛と診断された232例(平均年齢38歳,女性79%)を対象に,急性期の治療のほかに予防として行動療法+β遮断薬(69例),行動療法+プラセボ(55例),β遮断薬(53例),プラセボ(55例)をそれぞれ加えた4群にランダムに割り付け,片頭痛への予防効果を検討した。
 
 その結果,急性期の治療に加え行動療法+β遮断薬群のみで片頭痛の予防改善効果が認められるという結果が示された。
 
 私自身は片頭痛の予防療法にβ遮断薬(商品名:インデラル)は全く使っていません。
 エビデンスも豊富なのですが、私自身は①古い薬であること ②適応がないこと ③比較的使いにくい薬であること ④他の薬でまずまず満足していることで使っていません。
 検討したいです。

 10月1日からタバコの値段が上がっています。
 
 当院でも禁煙治療を2年前からやっていますが、8月から以前の4-5倍の勢いで患者さんが増えています。
 10月になれば勢いは落ち着くかと思いきや、減っていません。
 
 そんなこんなでなんでしょうか?!
 舘ひろしのTVCMで有名なファイザー社の「チャンピックス」という薬が全国的に品薄です。
 
 また新たに禁煙治療を始める施設では始められない状況のようです。
 
 幸い、当院では薬がなくて困ったという経験はないのですが、全国的には困っている地域が多いのが現状のようです。
 
 私は個人的にタバコが苦手なので、これを機にみなさんが禁煙していただければ嬉しいですし、それだけではなく、中学生・高校生のみなさんにも喫煙の害などを伝えていく教育も大事になっていきますね~。

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