2008年06月

 今日は頭痛の話ではありません。

 今日は私の恩師の話です。
 先日あるpartyでお会いしました。今でも年間4-5回はお会いするのですが、お会いするたびにいろいろ教えていただきます。

 先日も壇上に立たれて皆さんを前にして

 「最近は患者に様をつけたり、医療はサービス業だといってはばからなくなっている。
 私達の頃は患者をマテリアルと呼んでいた。マテリアルというけれど、決してモノ扱いしていたわけで はないし、患者に対しては誠心誠意尽くしてやってきた。今でもそのつもりである。
  
  今や研究は競争であると言われる。
 医学がここまで発達してきたのは研究のためではない。
 一人一人の医者が目の前にある患者を大事にして、定型例ではないものは症例報告という形で報告し、 そのような症例を積み重ねた結果として進歩してきた。
  
  どうぞ皆さん、目の前の患者さんを大事にして頑張ってください」


 という内容の話である。

 私の恩師は昭和20年代に大学を卒業された。
その後は臨床一筋でやられた臨床家だけに言葉に説得力があります。
昭和30年代は手術する患者さんと手術する日の早朝に別れの水杯をたむけて手術に行ったと聞きます。それだけ脳の手術は大変で死亡率が高かったわけです。でもそんな中でも一人一人を大切にしてやられてきたからこその言葉だと思います。

 マテリアルとは言っても誠心誠意がそこにあるわけです。

 患者様などと呼び合う非常におかしい世の中です。呼び方ではなく、心がそこにあるのかを問われているのです。

 私もいつも一人として同じ頭痛はいないと言っていますが、それぞれの特徴を把握しながら大事にして診療にあたりたいと気持ちを新たにいたしました。

 恩師は何歳になっても恩師です。

 最近、いろんな患者さんの片頭痛の前兆の話を聞きます。

 以前も歴史上の有名人も片頭痛であったことを紹介しました。

 今日は芥川龍之介の片頭痛の前兆の話です。

 頭痛大学の間中先生からの受け売りなんですけど、芥川龍之介も片頭痛もちだと思われる一説をご紹介します。

 芥川龍之介「歯車」より

「視野のうちに妙なものを見つけて出した。絶えずまわっている半透明の歯車だった。歯車は次第に数を殖やし、半ば僕の視野を塞いでしまう。暫くの後には消えうせる代わりに今度は頭痛を感じはじめる。 それはいつものことだった。」

 という一文です。

 私の患者さんの中にもにたような現象を言われる患者さんもいます。

 ある人はスーパーのレジをうっている方で、急に目がキラキラしだして、レジの数字が見えなくなり頭を振って見える位置で頭を固定してレジ操作を行うそうです。

 これがいわゆる前兆を伴う古典的片頭痛なんでしょうね。

 前兆が開始して、片頭痛の発作までは20-30分で発作が開始するといわれています。

 皆さんの前兆はどんな前兆ですか?

 以前も書きましたが100人の頭痛患者さんがいれば、1人として同じ頭痛はない。

 本当にそう思います。最近、またまたそう思わせてくれた患者さんに出会いました。

 通常、片頭痛の原因ははっきり確定したわけではありませんが、血管が急激に拡張することによって三叉神経に刺激が伝わっておこる三叉神経血管説が最も有力です。

 発作の最中は血管が拡張するので冷やすほうが理にかなっていると思いますし、そう説明してきました。

 その患者さんは夏になってもハイネックはかかせないそうです。クーラーの非常に効いた部屋で首スジをopenにしておくと必ず発作がおこるので、年中ハイネックのシャツをきているとのことです。

 確かにミグシスやテラナスといった薬は片頭痛の予防薬で、Ca拮抗薬といって血管を拡張させる働きのある薬です。ということは前もって血管を拡張させておけば発作がおこしにくいということになります。

 首まわりを冷たくしておくということは、血管を拡張させる余裕をつくることになりますから、首スジを冷やさないで温めておいたほうが発作をおこしにくいのかもしれませんね。

 確かに 確かに 勉強になりますね。

 本当に患者さんにはいつも勉強させられます。 listen to the patients!

 久しぶりに今日は頭痛日記です。

 最近、すごい事件が多すぎて本来の趣旨からはずれてしまっています。

 今日は片頭痛ネタです。

 教科書的には片頭痛は4:1とか5:1とかで女性に多い病気ですが、うちの診療所的には10:1とか12:1とかで圧倒的に女性です。

 男性で片頭痛でくる患者さんは、まず10代か20代です。

 なので最近50代後半の片頭痛の患者さんがいらっしゃってビックリしました。

 以前も女性の片頭痛は閉経とともに症状が軽くなるということを書きました。男性の場合はどうなるのかというと、多くは女性より早く軽症化して改善するのが一般的です。

 最近みえた患者さんの例ですが、14歳頃から目の前がピカピカ光ってきて30分くらいたったら脈うつような激しい頭痛が1ヶ月に1-2回きていたそうで、薬を飲まないとエライことになるので薬をのんでしたそうです。

 30代くらいから2-3ヶ月に1回になり、更に40代になると半年に1回になり、50代になってからは前兆だけで終わるようになったようです。

 最近は前兆もなくなり、軽い頭痛が時々ある程度で薬も全くいらなくなったとのことでした。

 この患者さんは比較的長く症状が持続した「前兆のある古典的片頭痛」という診断です。

 女性だけでなく、男性も更年期があって、片頭痛も変容しながらも治っていくもんなんだな~と改めて痛感いたしました。

 最近、日本でもタバコの金額をあげようという話になっています。

 確かにタバコはガン・心臓病・脳卒中の三大疾病だけでなく、呼吸器疾患のリスクにもなる非常に危険な習慣です。確か、うろ覚えですがタバコの金額を1000円くらいにすると喫煙者が減って、納税額の減少以上に国民医療費が下がって国としてはプラスになるという試算がなされています。

 英国では以前、喫煙する男性医師と喫煙しない男性医師を50年間調査した結果、喫煙した医師は喫煙しない医師より寿命が10年短かったという報告がなされています。

 喫煙者は生命保険の保険料も高く設定されていますから当然なことなんでしょうね。 

 外国のタバコの値段ですが

 ノルウェー 7.56ドル

 英国 6.33ドル

 アイルランド 4.46ドル

 米国 4.30ドル

 オーストラリア 4.02ドル

 シンガポール 3.99ドル

 香港 3.97ドル
 
 ニュージーランド 3.88ドル

 カナダ 3.80ドル

 韓国は日本の半分なんですよね。

 先進国はやはりかなり高く設定されているようです。

 百害あって一利なしです。ぜひ禁煙をお勧めします。

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