2008年01月

 ヤブ医者 決してほめ言葉ではなく、非難される言葉です。

 幸い私は今までに面と向かって患者さんから言われた経験は一度もありませんが、心の中でつぶやかれたり私のいないところで罵倒されたことはかなり多いものと思います。

 私の両親は着物を売る仕事をしていますが、常々お医者さんの奥さんには竹の絵柄の着物は売らないと言っておりました。というのは旦那はヤブ医者。奥さんの着物もヤブ柄と言われるからだと申しておりました。今もそうしているといっておりました。

 最近、高名な脳神経外科医が雑誌のあとがきに「ヤブ医者を目指す」というもの珍しいタイトルの文章がありました。非常に興味深い内容でしたので皆さんにもご紹介いたします。

 「ヤブ医者」が実は名医、良医の意味であることをご存知でしょうか?
どうしても一般的解釈として「ヤブ医者」が下手な医者、いい加減な医者の代名詞になってしまったかはわかりませんが、本来は「ヤブ医者」とは自らの診療外の時間に籠を背負い、「藪」の中に入って薬草を摘み、さらにそれらを薬剤にし、患者の症状にあわせ調合していた医師を示す一種の称号だったようです。現在のように医療が複雑になり、さらに専門分野化している状況ではこのような「ヤブ医者」の存在は不可能ですが、せめて個々の患者さんに見合った治療を行うことは医師として心にとめておくことは大切なことではないでしょうかという文章でした。

 私は「ヤブ医者」とはヤブの中に入ると周りの状況がよくわからなくなるために、患者さんに対しても状況のよくわからないまま治療してしまう下手な医者というように解釈していましたが、本来は個々の患者さんに応じて薬を調合する立派な医者という意味だったようです。

 「ヤブ医者」っていい響きの言葉なんだと改めて感じる今日この頃です。

 皆さんはどう思われますか?

 最近、片頭痛の女性が来院されました。お母さんも片頭痛もちで、自分も片頭痛でした。

 毎日のように片頭痛の痛みを感じていたときにある医療機関を受診され、片頭痛の予防薬(ミグシスorテナラスという薬)を内服され、随分回数が減ったそうです。

 しかし、それでも片頭痛は続いていたようですが片頭痛の頓挫薬(トリプタン)は処方されないままでいたようです。確かに片頭痛薬(トリプタン)は高い。1錠900円を越えます。
 (今年夏にグラクソ社から発売するトリプタンは安いらしいけど、、)

 ですから二の足を踏まれる先生もいらっしゃるのでしょう。

 私は片頭痛と診断したならば必ずトリプタンを処方します。
 そして、1回目には患者さんの負担にならないように3錠だけ処方するようにしています。
 次に受診された際に、トリプタンがいいのか通常の鎮痛剤がいいかを判断していただくようにしていただいています。(もちろんトリプタンを薦めますけど~)

 後は症状を見て患者さんと相談して次からの薬を決めるようにしています。

 やり方はそれぞれで結構なんですが、やはり患者さんにも選択肢を示して、適切な方法を検討することが大事ですよね~。

 女性の12.9%に片頭痛を持っているといわれています。最初聞いた時はちょっと多くな~いとも思いましたが、程度の差こそあれ最近は確かにそんなもんかもしれませんねと思えるようになってきました。

 ところで今日は生理と片頭痛。
 関係あるかって? おおありです。
 
 片頭痛は何がしかの女性ホルモンの影響を受けています。
 ’タ叡罎亙卞痛発作が少ない
 ∧跳个垢襪畔卞痛発作がなくなる。軽くなる。頭痛のタイプが変わる。
 7邨个始まると片頭痛が改善する。
 
 など。など。女性ホルモンとの因果関係を示すデータはたくさんあります。

 排卵日に多いという人もいますし、生理前後で必ずおきる人もいます。
 
 月経前困難症との鑑別も難しいのですが、頭痛が主体であれば、まず片頭痛発作と考えていいものと思います。

 皆さんも生理と頭痛の関係を考えてみてください。

 頭痛の治療で漢方薬を使うことも結構あります。

 例えば風邪薬で有名な葛根湯とか片頭痛に使う呉朱ユ湯(ツムラ31番)など~

 ところが、、、。 内服方法まで外来で指導するんですが、、、。

 5割以上の確率で正しい内服方法で内服されていません。残念です。せっかく処方されても、正しい内服方法でないと十分な効果が得られませんからね。


 まず内服時期ですが、基本的には食間です。そうゴハンとゴハンの間です。
 1日3回なら午前10時、午後3時、午後9時とかに内服して欲しいですね。


 加えて飲み方ですが、口の中にあの苦い?顆粒をぶっこんで水で流し込む。
    普通じゃんって。 違いますよ。 間違っています。
 
 漢方薬は昔は薬草を煎じたものを内服してたわけですから、現在ならツムラ、カネボウやオースギなどのメーカーが出している薬(エキスと呼びます)を適度な白湯に十分溶かして内服するのがいいと思われます。

 実験ですが、私が風邪をひいた時に27番の麻黄湯を内服しましたが、水だと殆ど身体に変化なかったわけですが、白湯に溶かして内服すると徐々に身体がポカポカしてきて、その後発汗してきて解熱し、症状が緩和したものです。

 是非、漢方は食間に白湯に溶かして服用してください。

 前回、脳脊髄液減少症について考えました。
 結論はちゃんとみてくれる医療機関、先生がいないということでした。

 では、脳脊髄液減少症ってそんなに多くいるものでしょうか?

 頭痛外来では、しっかり勉強してきてあってインターネットの記事まで印刷していらっしゃる患者さんもすくなくないわけですが、多くは違うようです。

 まず症状がこれだという点がない。(しかし、現在のガイドラインでは症状は何でも許容されるようになっていますが、、、。)

 画像検査しても、あてはまる人が非常に少ないという現実があります。

 多くは整形外科からの紹介で来院されていましたが、厄介ばらいみたくされて受診される患者さんもいるのが現実です。多くの期待をよせて来院された患者さんに期待と反する答えを出した場合の精神的な問題は非常に大きく、決して福音にはなっていないようです。

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