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本日は、研究報告からの貴重な論文を紹介します。
私も過去には妊婦のくも膜下出血の経験があり、結果的に診断が遅れてしまったこと。片頭痛発作と思われていたが違った出産直後の脳出血のケースなど、同様のいくつかの経験があります。
若い妊産婦でも、また片頭痛が既往にあったとしても、脳の病気による頭痛の可能性を常に考えながら診療にあたるべきだという論文です。
妊婦は薬が飲めない。検査ができない。だから病院には行っても意味が無いとは思わないで欲しいとも思える論文です。

雑 誌:Neurology 2015;85:1-7
報告者:Robbins MS, et al.
所 属:アメリカ・Montefiore医療センター

背 景:片頭痛が合併した妊婦の数は多く、妊娠に際して片頭痛の病状は変化を示すことが多い。一方、妊娠時に急性頭痛が発生した場合には、過凝固状態を基盤にした静脈洞血栓症など、診断が難しく治療が遅れると予後不良となる器質的疾患の可能性も考慮する必要がある。本研究では、妊娠時に生じた急性頭痛症例を後方視的に検討し、妊娠時の頭痛を呈する患者の特徴や危険因子などを解析している。

方 法:産科から神経内科に依頼のあった妊娠中の急性頭痛の140症例が対象。(平均29.4±6.4 歳)。●初産婦は15.0%●78.6%は頭痛の既往があり●30.7%は神経学的異常があり●87.9%で画像検査が施行
●59.3%が前兆のない片頭痛、11.4%の症例が前兆のある片頭痛の既往あり。

結 果:全症例の中で65.0%が一次性頭痛、35.0%が二次性頭痛。
全体の59.3%が片頭痛症例。
二次性頭痛の原因疾患としては、妊娠に伴う高血圧によって引き起こされた頭痛が最も多く17.9%。
下垂体腺腫/下垂体卒中が3.6%。感染症と気脳症が2.1%。脳静脈血栓症と頭蓋内出血が1.4%。可逆性脳血管攣縮症候群 (RCVS)は0.7%。

頭痛が発生した時期は妊娠第三期が最も多く (56.4%)、特に二次性頭痛でその傾向が顕著。
片頭痛症例では、以前の発作に比較して持続時間が長く (44.5%)、前兆を伴ったり (40.0%)、重症度が増したりする (30.0%)傾向が認められた。
二次性頭痛に有意に関連した因子としては、血圧上昇と一次性頭痛の既往が存在しないことであった。その他、痙攣・発熱・神経学的検査での異常所見は二次性頭痛を示唆する症候であることも確認された。

結 論:①妊婦における急性頭痛の約1/3に二次性頭痛が存在したことは、画像検査を含めた精査が重要であることを再確認したといえる。
②一次性頭痛の既往のない症例、血圧上昇・痙攣・発熱・神経学的異常が認められた場合は特に注意が必要と思われる。
③妊娠時期が進むと片頭痛発作は軽快や消失を示すと考えられているが、今回の検討では、片頭痛発作が妊娠第三期に最も多く認められた点は興味深い。