今年は11/19-11/20で第39回日本頭痛学会がありました。実は今年は何やかんやで発表もせず、参加もせず、過ごしてしまいました。 残念です。来年は参加・発表の予定にしています。
 
 さてその頭痛学会で話題になった演題を報告します。
 
 (演者)順天堂大学浦安病院小児科 中澤友幸
 
 (対象)2006年7月から2010年2月の期間に3カ月以上にわたり反復する頭痛を主訴に受診した小児35人(男児19人、女児16人)。平均年齢10.6歳で罹病期間は3カ月-6年(平均1年4カ月)、頭痛の家族歴を66%(23人)に認めた。
 
 (結果)
 ①頭痛頻度 年に数回3人、月に数回8人、週に数回13人、毎日11人
 ②日常生活への影響レベル レベル5(自宅でも横になる)は7人、レベル4(自宅では日常生活が可能)は10人、レベル3(学校活動を中断・休止する)は13人、レベル2(学校活動の継続可能)は5人とレベル3、4を合わせて過半数を占めた。
 ③診断 片頭痛31人(前兆なし16人、前兆あり13人、小児周期性症候群2人)、緊張型頭痛6人、精神疾患による頭痛2人、低髄液圧による頭痛1人、てんかん発作による頭痛1人、薬物乱用頭痛1人、副鼻腔炎による頭痛1人
 
 (結論)
 ①小児頭痛の有病率は病院を受診する頭痛は片頭痛が多い。
 ②治療としては生活指導に加え、鎮痛薬、片頭痛薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬などの薬物療法が行われていた。63%(22人)で予防的な投薬が行われ、「年少児においては塩酸シプロヘプタジンが比較的多く用いられており、年長児では症状にあわせて塩酸ロメリジン、カルバマゼピン、塩酸ミトドリン、エチゾラム、塩酸アミトリプチン、トフィソパム、塩酸チザネジン、漢方薬などが用いられていた。
 頓用ではアセトアミノフェン、イブプロフェンの使用が多かったが、トリプタン製剤も12人(12歳以上)で用いられており、重篤な副作用は見られなかった。
 ③平均11カ月の観察期間で5%(2人)が頭痛消失し、頭痛頻度または日常生活への影響レベルが1段階以上改善した軽快例は89%(31人)、不変または悪化5%(2人)だった。
 
 頭痛が完全に消失しない前提で対処法の指導が重要と解説した上で、「生活指導と頓用を主体とする薬物療法で軽快する患者が多かった」と小児頭痛は治療反応性が良好であることを強調。また予防的治療については、必要とする患者の薬剤選択についてエビデンスが不十分であり、今後の確立の必要性を指摘している。