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本日は新しい論文からの御報告です。

稀な疾患ですが遺伝性の疾患でCADASILという疾患があります。
正式には「
皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症」と呼ばれます。
片頭痛発作を繰り返し、更には若年性の認知症(脳血管性認知症)を来す疾患としても知られています。
この疾患に対して片頭痛の予防薬で知られている「ミグシス」を使うことで、脳梗塞の発症が減り、予後が改善したという報告で、大変貴重ないい報告です。

雑誌:Clinical Neuropharmacology2020/7/17

発表者:水野敏樹教授(京都府立医科大学脳神経内科学)

要約:脳卒中再発予防に効果的な薬剤がなかった遺伝性脳小血管病CADASILに対して、
片頭痛予防薬である塩酸ロメリジ(商品名:ミグシス・Ca拮抗剤・片頭痛予防料の目的に使用)脳梗塞再発予防に効果があることを世界で初めて報告した。

(背景)
指定難病CADASILは常染色体優性遺伝形式を示し、若年期からCTMRIで同定される大脳白質病変が徐々に進行。4060歳の中年期から脳卒中危険因子がなくても皮質下白質にラクナ梗塞を繰り返し発症し、うつ症状、脳血管性認知症に至る遺伝性脳小血管病。
NOTCH3遺伝子に変異を認め、病理学的に脳小血管の平滑筋の変性と、電顕でオスミウムに濃染する顆粒(GOM)の蓄積を特徴とし、遺伝子診断または病理診断で確定診断を行う。
同疾患の有病率は10万人あたり1.23.6人とされ、患者数が極めて少ない稀少疾患であり、根本的な治療法が確立していない。
脳梗塞の予防には通常抗血小板薬が使用されるが、CADASILの場合、これらの薬剤では脳梗塞発症予防が難しく、脳梗塞予防に有効な薬剤が望まれている。

(方法)CADASIL患者30人に対して抗血小板剤+
塩酸ロメリジン5mg12錠を2年間服用した。塩酸ロメリジンは片頭痛予防薬として市販されている薬剤であり、脳血流増加作用があり、脳虚血下の動物実験では脳保護作用が知られている。今回の研究では、CADASILと診断された30人の患者を対象に、抗血小板剤に加えて塩酸ロメリジン5mg12錠を2年間服用してもらった。

(結果)1年間の
脳梗塞平均回数は投与前の0.53回と比べ、投与後は0.18回と減少し、脳梗塞の発症が3分の1に減少した。その間、低血圧ほてり、眠気のため3人が継続して服用できなくなったが、これらの副作用は塩酸ロメリジンですでに報告されており、中止後速やかに改善した。

(考察)CADASILは、
脳梗塞の再発を繰り返すことで症状が増悪するため、抗血小板剤に加えて塩酸ロメリジンを服用することで脳梗塞を予防することができれば、患者の予後改善が期待される。塩酸ロメリジン1990年に認可され、広く片頭痛患者に投与されている安全性・忍容性の高い薬剤であり、CADASIL患者に対しても安全に投薬できることが期待されると研究グループは述べている。


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本日は片頭痛の最新研究からです。
以前から片頭痛患者も心血管疾患発生頻度(特に脳梗塞)が高いという報告が多い。

実際問題として、当院でも椎骨動脈解離の登録を行っているが、片頭痛の既往歴のある人に多い傾向だと考える。

そんな中で、長期間の前向き研究ですから意味のある論文だと言えます。

雑誌:JAMA. 2020 06 09;323(22);2281-2289.

著者:Tobias Kurth (ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学)

要約:45歳以上の女性医療従事者を対象としたコホート研究において、前兆のある片頭痛を有する女性は、前兆のない片頭痛を有する女性または片頭痛なしの女性と比較して、心血管疾患(CVD)発生率が高いことが示された。

目的:前兆のある片頭痛がCVDリスクを増加させることは知られている。しかし、ほかのCVDリスク因子と比較した場合、前兆を伴う片頭痛のCVD発生への絶対的寄与率は不明であった。
 
対象:アメリカのWomen's Health Study(WHS)の追跡調査結果を解析・報告した。研究グループは、WHSに参加した45歳以上の女性医療従事者のうち、ベースライン(1992~95年)の脂質測定データがあり、かつCVDの既往がない女性について、2018年12月31日まで追跡調査した。ベースラインでの片頭痛の有無(前兆あり/前兆なし)は自己報告とした。

評価項目:主要CVD(初発心筋梗塞、脳卒中、CVD死)で、一般化モデリング法を用いコホートの全女性を対象に、リスク因子ごとに多変量調整主要CVDイベント発生率を算出した。

結果:①解析対象は、2万7,858例(平均年齢:54.7±7.1歳)であった。このうち1,435例(5.2%)が前兆のある片頭痛を有し、2万6,423例(94.8%)が前兆のない片頭痛あり/片頭痛なしであった。
②平均追跡期間は、22.6年(62万9,353人年)で、主要CVDイベントは1,666件発生した。1,000人年当たりの調整主要CVD発生率は、前兆のある片頭痛を有する女性で3.36、前兆のない片頭痛あり/片頭痛なしの女性では2.11であった。

 前兆のある片頭痛を有する女性における調整主要CVD発生率は、肥満(2.29)、トリグリセライド高値(2.67)、HDLコレステロール低値(2.63)の女性に比べて有意に高かったが、収縮期血圧値上昇(3.78)、総コレステロール高値(2.85)、心筋梗塞の家族歴あり(2.71)の女性との比較では有意差は確認されなかった。一方で、糖尿病(5.76)または現喫煙者(4.29)の女性における発生率は、前兆のある片頭痛を有する女性より有意に高値であった。
前兆のある片頭痛を有する女性での発生率の増加は、肥満の要素が加わった場合の1.01/1,000人年から、糖尿病が加わった場合の2.57/1,000人年の範囲にわたった。

考察:著者は、研究の限界として片頭痛と血管リスク因子について自己報告であること、女性医療従事者のみを対象としたことなどを挙げたうえで、「本解析結果の臨床的意義と一般化の可能性については、さらなる調査が必要である」とまとめている。

今後ね更なる研究が待たれます。


九州では豪雨被害がとまりません。

7月4日(土)は球磨川の氾濫で人吉地方に大きな被害が。

7月6日(月)は筑後川の氾濫で筑後地方~日田にかけてまたまた大きな被害がでています。

毎年のようにおこる「50年に一度の大雨」「命を守る行動」
特に筑後川流域は毎年線状降水帯ができやすく、大雨特別警報がだされます。
治水も進んでいて、被害がでないような取り組みは行われていますが、十分対応できていない。

こうなると頭痛もおこるのです。
いわゆる「爆弾低気圧」にちかい状況で、九州を南北に移動するだけで停滞しているので、トリプタンを飲んでも時間が経過すれえば、また痛くなるを繰り返します。

毎日、片頭痛の患者さんを拝見していますと、おこる日がよくわかる。
同じ日から頭痛が続いているのです。

今週の日曜日まで梅雨前線が居座ります。
当然、片頭痛が続くことが予想されますし、かつ月経と重なれば最悪の展開も予想されます。

天気を変えることはできません。
おこしやすくなる因子を減らして、おこったら早めの内服。
続いても自暴自棄にならず、根気よく続ける。

やまない雨はなく、明けない夜もありません。
心が折れそうになる気持ちを何とか収めて、前をむいていきましょう~!

球磨川筑後川

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